少額訴訟

この分野の特徴

基本の制限

1回の期日で審理を終えて判決をすることを原則とする、通常訴訟に対し特別な訴訟手続です。

60万円以下の金銭の支払を求める場合に限り利用することができます。

原告の言い分が認められる場合でも、分割払・支払猶予・遅延損害金免除の判決がされることがあります。

訴訟の途中で話合いにより解決することもできます(これを「和解」といいます)。

判決書又は和解の内容が記載された和解調書に基づき、強制執行(※1)を申し立てることができます(少額訴訟の判決や和解調書等については、判決等をした簡易裁判所においても金銭債権(給料、預金等)に対する強制執行(少額訴訟債権執行※2)を申し立てることができます)。

少額訴訟判決に対する不服申立ては、異議の申立てに限られます(控訴はできません)。

※1強制執行:判決などの債務名義を得た人(債権者)の申立てに基づいて、相手方(債務者)に対する請求権を裁判所が強制的に執行します。
※2少額訴訟債権執行:少額訴訟手続で債務名義(判決・和解調書等)を得たときに限り、その簡易裁判所において行う金銭債権(給料、預金等)に対する強制執行のこと。

少額訴訟の流れ

  1. まず訴状を作成し、簡易裁判所(※)に提出します。
    簡易裁判所にある用紙、あるいは下記ネット(裁判所)のホームページから「訴状」をダウンロードし、記入例を参考に必要事項を記入することができます。貸金・売買代金・給料支払・敷金返還・ 損害賠償・金銭支払(一般)請求等の書式が利用できます。
    http://www.courts.go.jp/saiban/tetuzuki/syosiki/index_minzisosyou.html

    ※訴状を提出する簡易裁判所は、下記のいずれかになります。
    • 被告(訴える相手)の住所地を管轄する簡易裁判所
    • 債権の義務履行地(支払が行われるべきところ)の簡易裁判所
    • 不法行為(交通事故など)のあった場所の簡易裁判所
  2. 簡易裁判所は、口頭弁論の期日を指定し、連絡をくれます。
    また、被告には答弁書(訴状に対する答弁や訴状記載事実への認否記載書面)を提出するように依頼します。
  3. 原告には、証拠書類を口頭弁論の期日までに提出するよう依頼があります。
  4. 当日は必要と思われる証人をも登場させ、自分の正当性を主張します。
  5. 裁判官が双方の主張を聞いて判決を言い渡します。
    異議申立がなければ判決が確定します。
    ※もし、異議申立てがある場合は、下記を参照してください。

判決への不服申立て制限

少額訴訟は、一審限りで終局判決となりますから、不服申立ての方法としては、異議の申立のみであり、控訴(新たな判決を求める不服申立て)をすることができないのです。
2週間の異議申立て期間の間に異議申立てを行えば、通常訴訟へ移行します。

異議申立て及び異議後の手続

異議後の訴訟の審理は、少額訴訟の判決をした裁判所において行われ、その審理・裁判は、少額訴訟の特則によるものではなく通常訴訟により行われます。

通常訴訟では証拠調べに関する制限がはずれ、少額訴訟の一期日審理の原則の適用がなくなりますが、反訴の禁止、証人尋問・当事者尋問での尋問順序や判決による支払の猶予は、異議前の少額訴訟手続きと同様です。

少額訴訟既済事件数と内訳統計

少額訴訟既済事件数:少額訴訟から通常訴訟へ移行したものを含まない件数

最近3年間の司法統計より

  • 平成18年度 総数18,314件(認容判決:6,246件、和解:7,239件、認諾:4件 計13,489件/74%)
    ※総数のうち取下げ:3,808件(21%)
  • 平成17年度 総数19,755件(認容判決:6,930件、和解:7,988件、認諾:6件 計14,924件/76%)
    ※総数のうち取下げ:3,859件(20%)
  • 平成16年度 総数17,346件(認容判決:5,888件、和解:7,258件、認諾:4件 計13,150件/76%)
    ※総数のうち取下げ:3,495件(20%)

以上のデータから、認容判決・和解・認諾件数の合計と取り下げされた分が原告の実質的な勝訴の部分だと言え、概ね総数の95〜96%相当となります。
ただし、勝訴しても相手に資力が無ければ回収不能な訳ですから判決後どうなったかは、裁判所の関知しない所でもあり、弁護士・司法書士が付かない事件も多いことから、弁護士会はじめどこも把握できていないのが実情でしょう。

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。