少額訴訟

少額訴訟 審理の制限

少額訴訟では、一回の期日で終わらせるために審理や証拠調べなどに制限が加えられています。少額訴訟手続で審理するのが適当でない場合は、通常訴訟に移行される可能性もあります。また相手方が少額訴訟によるのを望まないときは、通常訴訟への移行を申述することもできます。

一期日審理の原則

簡易・迅速な審理が基本となる少額訴訟では、特別の事情がある場合を除いて、最初にすべき口頭弁論期日においてその審理を完了しなければならないとされています(民訴370条)。

特別の事情とは、当事者の申出た証拠によっては十分な心証が得られない場合、また審理に予想以上の時間がかかり第1回口頭弁論期日で審理を終えることができない場合、ほかに裁判所が事前に当事者から聴取していた事項と異なった事実が主張されたり、証拠の申出がされた場合などが予想されます。

つまり、少額訴訟は原則として一度だけの審理でもって判決が下されまから、自己の主張を十分に整理し、提出すべき証拠や証人をできる限り用意した上で期日に望むことが必要です。

しかし実際に期日が続行される例は少ない少額訴訟ですが、この「特別の事情」があって審理が一日では終わらなかった場合には、例外的に期日が続行されます。(通常の訴訟においては、 口頭弁論期日は複数回設けられることが普通です)
日本司法書士会連合会編『少額訴訟ガイダンス』によれば、この「特別な事情」の具体的な例として、

  • 重要証人がアクシデントで出頭できなかった場合。
  • 審理の途中で他に重要な証拠があることが判明した場合。
  • 和解勧試その他の事情のために審理時間が不足することとなった場合。
  • その他期日を続行してでも少額訴訟手続で審理を継続することが適当と考えられる場合。

などが挙げられています。

反訴の禁止

少額訴訟においては、反訴を提起することはできません(民訴369条)。

反訴の提起(被告が原告を相手取って提起する訴え)を認めると、審理が複雑になり、迅速な訴訟が期待できなくなることなどから、少額訴訟手続においては反訴が禁止されました。

証拠調べの制限 

少額訴訟での証拠調べは、即時に取り調べることができる証拠に限りすることができます(民訴371条)。

少額訴訟では、原則として最初の口頭弁論期日において審理を終えなければならないため、この証拠制限が行われます。したがって、書証(文書類)と証人尋問さらに当事者尋問程度で審理が終了することになります。

「即時に取り調べることができる証拠」の具体的なものとして、

  • 裁判所に出頭している当事者に対する当事者尋問
  • 同じく出頭している証人、または電話会議の方法で可能な証人(※相当と認められる場合)に対する証人尋問
  • 即時に鑑定結果が明らかになるような、簡易な鑑定(鑑定が行われるケースは少ない)。。
  • 当事者が持参した書証・検証物(現場検証等は行われない)

証人等への尋問方法 

少額訴訟では、証人の尋問は宣誓をさせないですることができるとされています(民訴372条1項)。

証人尋問は宣誓を省略でき、形式にこだわらず簡易で柔軟な証人尋問ができるよう、裁判官が相当と認める順序で行なわれます。
一般市民が本人訴訟で利用する少額訴訟では、当事者に尋問を要求することは困難であると考えられ、原則的には、裁判官が当事者に代わって尋問し、その後に尋問の申出をした当事者が尋問することもできるという柔軟なやりとりが期待できると思われます。

※裁判所が相当と認めるときは、最高裁判所規則で定めるところにより、裁判所及び当事者双方と証人とが音声の送受信により同時に通話をすることができる方法によって、証人尋問をすることができます(民訴372条3項)。

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。