借金

改正貸金業法と今後

貸金業法等改正の中身

2006年12月13日、グレーゾーン金利の撤廃や総量規制の導入などを盛り込んだ「改正貸金業法」が成立した。
中身は表「貸金業法等改正の概要」にあるように、改正内容によって、大きく4つの施行スケジュールで実施し、肝心な「出資法上限金利の引下げ」や「総量規制の導入」は、公布後2年半以内(最長、平成22年6月20日まで)の最も遅い実施であり、この間での施策の見直し等の規定も含まれています。
今後、過剰貸し付けの防止、厳しい取り立て規制、総借入残高が年収の3 分の1 を超える貸付け禁止などの推移を見守っていきたい。

貸金業法等改正の概要

貸金業の適正化 施行スケジュール
貸金業への
参入条件の
厳格化
純資産を 2,000万円以上にする 施行後、1年半以内に
(平成21.6.20まで)
純資産を 5,000万円以上にする 施行後、2年半以内に
(平成22.6.20まで)
法令遵守のための助言・指導を行う貸金業務取扱主任者に資格試験を導入し、合格者を営業所ごとに配置する。 施行後、1年半以内に
(平成21.6.20まで)
貸金業協会の
自主規制機能強化
貸金業協会(認可法人)を設置し、都道府県ごとの支部設置を行う。 公布から1 年以内
(平成19.12.19)
当局が認可する自主規制ルール(広告の頻度や過剰貸付防止等)を制定・導入する。 公布から1 年以内
(平成19.12.19)
行為規制の強化 夜間に加え、日中の執拗な取立行為など、取立規制を強化。 公布から1 年以内
(平成19.12.19)
貸付けにあたり、トータルの元利負担額などを説明した書面の事前交付を義務づける。 施行後、2年半以内に
(平成22.6.20まで)
貸金業者が、借り手等の自殺により保険金が支払われる保険契約を締結することを禁止。 公布から1 年以内
(平成19.12.19)
公正証書作成にかかる委任状の取得を禁止。利息制限法の金利を超える貸付け契約では公正証書作成の嘱託を禁止。
連帯保証人の保護の徹底のため、連帯保証人に対して、催告・検索の抗弁権がないことの説明を義務づけ。
業務改善命令の導入 登録取消や業務停止に加え、業務改善命令を導入し、規制違反に対して機動的に対処する。
過剰貸付の抑制 施行スケジュール
指定信用情報機関
制度の創設
信用情報機関を導入し、貸金業者が借り手の総借入残高等を把握できる仕組を整備する。 施行後、2年半以内に
(平成22.6.20まで)
総量規制の導入 貸金業者に借り手の返済能力の調査を義務づける。
自社からの借入残高が50 万円超となる貸付け又は、
総借入残高が100 万円超となる貸付け
の場合には、年収等の資料の取得を義務づける。
調査の結果、総借入残高が年収の3 分の1 を超える貸付けなど、返済能力を超えた貸付けを禁止する。
金利体系の適正化 施行スケジュール
上限金利の引下げ 貸金業法上の「みなし弁済」制度(グレーゾーン金利)を廃止し、出資法の上限金利を20%に引下げる。 施行後、2年半以内に
(平成22.6.20まで)
金利の概念 貸付けの利息には、契約締結費用及び債務弁済費用も含む(ただし、公租公課・ATM手数料を除く)。
貸付利息と保証業者への保証料を合算して上限金利を超過した場合、超過部分は原則保証料を無効とする。
日賦貸金業者及び電話担保金融の特例の廃止
ヤミ金融対策の強化 施行スケジュール
ヤミ金融に対する
罰則の強化
懲役5年→10年
※超高金利(109.5%超)の貸付けや無登録営業などが該当
公布から1 か月後
(平成19.1.20)
多重債務者問題に対する政府を挙げた取り組み 施行スケジュール
政府は、関係省庁相互の連携強化により、多重債務問題解決のための施策を総合的かつ効果的に推進する。 公布から1 か月後
(平成19.1.20)
見直し規定 施行スケジュール
貸金業制度のあり方(総量規制など)、出資法及び利息制限法に基づく金利規制のあり方について、検討の結果に応じて所要の見直しを行う。 施行から2 年半以内に

「多重債務者改善プログラム」の実施

今回の改正では、「出資法上限金利の引下げ」や「総量規制の導入」のような数値の改正とともに、“多重債務者を救済する”というプログラムに大きな意味があります。

消費者金融(サラ金)利用者は年収300万円未満の人が6割、圧倒的に低所得者層で、無職・フリーター・パートタイマー・高齢・母子・訪販クレジット被害者なども多く、3万人を超える自殺者の内8000人は、貧困(借金・経済的問題)が理由となっています。
サラ金利用者の実に6人に1人が多重債務者であり、自己破産件数も19万件、「多重債務」の原因はやはり「貧困」そのものにあるのです。

2007年4月、政府は「多重債務者改善プログラム」を策定し、関係官庁並びに地方自治体に通知し、市町村では、多重債務者相談窓口を設置するなどの対策をとり、さらに2008年5月13日には、多重債務者対策本部有識者会議において上記プログラムの実施状況や多重債務者相談窓口の調査結果(下記)等が報告されています。

「多重債務問題改善プログラムの実施状況について」
  「多重債務者相談窓口向けアンケート調査結果(概要)

このなかで、多重債務者に、“無責任に借金をして!”といった従来の認識で相談に当たっても、相談者は心を開いて話をしてくれないことから、相談に当たる者には、いままでの認識を捨て、“多重債務者の背景にはひどい貧困がある”とする共通認識で望むよう指導されています。

このように、多重債務者救済には、行政の生活支援サービスが不可欠で、多重債務者の早期発見・救済、適切な助言・指導が必要となり、係る行政のすべての窓口では根気よく、相談者の目線で相談を受け、弁護士・司法書士に誘導していくことが必要となります。
このほかにも、公的融資制度の新しい制度を作り上げることが求められ、岩手県の信用生協では、県、労働金庫が協力し多重債務者への相談、融資などを行っている例を参考に、福岡県の「グリーンコープ生協ふくおか」、熊本県の「グリーンコープ生協くまもと」で生活再建のための相談を前提とした生活再生貸付事業を開始。青森県、秋田県、神奈川県、大分県においても同様の取組みについて検討中のようです。

融資を断られた多重債務者が、超高金利で無登録のヤミ金融業者に走る可能性も指摘されるため、融資を受けられなくなった人たちをどう救済していくかも、緊急な検討課題となります。

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。