労働

パートタイム労働法の改正

深刻な待遇改善に、正社員へ途用の道も… (平成20年4月1日より施行)

パートタイム労働者(短時間勤務労働者)は、いまや、わが国の労働力の4分の1(1200万人余)にも達しています。
厳しい経営環境下で多くの企業は正社員をリストラして、低賃金のパートや派遣社員などに転換、コスト抑制を図ってきた結果、男女とも大量の人材派遣、短期・臨時雇用の増加などから、正社員と非正規社員の「身分」化等が大きな社会問題となっています。
パートタイム労働法は平成5年に制定されましたが、事業主に労働条件の明記や就業規則作成の際の意見聴取に努めることを求めたにすぎませんでした。 その後の社会問題化を受けて、労働政策審議会で検討が重ねられ、このたびの法改正(平成20年4月1日より施行)となったものです。

事業主が措置しなければならない、改正事項の主要な点は、

(1)労働条件の文書による明示が必要

雇入れに際し、労働条件、「契約期間」「仕事場所と内容」「始業と終業時刻、時間外労働の有無、休日と休暇」「賃金」などは文書で明示する必要があり、違反すると30万円以下の罰金となります。
また他に、「昇給の有無」、「退職金の有無」、「ボーナスの有無」の明示も加わり、指導に従わないときは10万円以下の過料となっています。

(2)正社員等と同一視できるパートには一切の差別的取扱いが禁止

正社員等と同一視できるとは、業務内容や責任、異動(昇進・転勤等)の有無やその範囲、契約期間も定められていないなど同じ扱いの状態をいい、このようなパートタイム労働者の待遇について、一切の差別的取扱いは許されません。
諸手当・賞与、福利厚生、退職金、休暇、解雇基準等々、すべて正社員と同じ扱いにしなければなりません。
ということは、処遇差別が禁止されたのは仕事内容が“正社員と同一視できるパート”に限定されるため、多くのパート労働者は対象外になる可能性が大きい。

(3)賃金は正社員等との均衡に配慮する

パートだからといって、主観的だったり、画一的な決定ではなく、働き・貢献、実績に応じて決定するよう努めなければなりません。
そして、福利厚生施設、教育訓練も正社員同様の利用や実施が義務づけられました。

(4)正社員への転換推進義務づけの措置

以下いずれかの措置の義務づけです。

  1. 正社員の新規求人をするときはその内容をパートにも周知する。
  2. 社内ポストを公募するときはパートにも応募の機会を与える。
  3. 正社員への登用試験制度を設けるなど、転換制度を導入する。

これら労働条件の文書交付や待遇の差別的取扱い、正社員への転換措置等についてパートから事業主が苦情を受けたときは、自主的な解決を図ることを努力義務としています。もし解決されない場合には、助言・指導・勧告や調停を行うこととなります。

以上のように、「雇用差別撤廃への第一歩」には違いはありませんが、多くの部分で事業者の努力義務にとどめており、決して十分な内容とはいえません。
法改正による成果は企業側がこの改正法の趣旨をどれだけ理解し、義務化以外の部分にも踏み込んでいくかにかかっている面が多いといえましょう。

※パートタイム労働者とは、「パート」「アルバイト」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」等々、呼び方は問わず、1週間の所定労働時間が、同一事業所の正社員等に比べて短い労働者をいいます。
※正社員と同じ時間働く、いわゆるフルタイムパートについては、今法の対象とならなかった問題が残されています。

★「パートタイム労働者就業規則の規定例」(ワード版)が利用できます。
この規定例(厚生労働省提供)は、正社員に適用される就業規則とは別に、パートタイム労働者のみに適用される就業規則を作成(変更)する場合の参考例です。したがって、各事業所の実態を踏まえた検討を加え、事業所の実態にあったものとしてご利用ください。

書式及び参考資料

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