交通事故

この分野の特徴

わが国における2006年の交通事故の発生件数は88万6,864件。死者数は6,352人(県別には愛知県の338人が最高)、負傷者数は109万8,199人と、1955年(死者数6,379人)以来51年振りに死者数が6,500人を割り込みました。また前年比でも,死者数519人(7.6%)減,発生件数4万6,964件(5.0%)減,負傷者数5万8,434人減(5.1%)と減少を見せています。

しかし,いぜんとして1日あたりの平均で17.40人が交通事故で死亡。負傷者数も8年連続で100万人を超えるなど,憂慮すべき交通情勢にあることに変わりはありません。

また、2006年の交通事故の死者数を年齢層別にみると,65歳以上の高齢者が2,809人と最も多く(4年連続)、全死者数に占める割合も44%を超えています。また、事故の状態別では,自動車乗車中(2,359人,37.1%)が最多で,二位の歩行中(2,051人,構成率32.3%)と合わせて全体の約7割を占めています。なかでも歩行中の死者数では,65歳以上の高齢者が全体の66.2%を占めている状況です。

一方、飲酒運転に関しては、2006年中の原付以上の運転者の飲酒運転による交通事故件数は1万1,625件(全体の1.4%)と,一連の取締り強化や飲酒運転根絶運動などによって,前年比で2,250件(16.2%)の減少を見せています。

また、2006年の自動車等運転中の携帯電話使用による交通事故発生件数は900件と,前年より46件減少。1999年に施行された改正道路交通法で携帯電話等の走行中の使用が禁止されて以降,減少傾向が続いているものの,一方で自動車等運転中のカーナビゲーション装置等の画像の注視による交通事故発生件数は,921件と,前年比で109件増加しています。

一方、交通事故にともなう民事交通事故訴訟では、戦後、新受件数は上昇の一途をたどり、1970年には2185件に達しましたが、保険会社の示談代行員が弁護士にかわって示談による解決を図る示談代行保険制度の導入によって大きく減少。1975年以降年間1000件以内に推移してきました。ところが、被害者の権利意識の向上からか2000年には再び1000件を突破。2003年1394件、2004年1329件と再上昇の兆しを見せています。

また、近年の交通事故訴訟の決着の仕方としては、2000年から2004年までの5年間の平均で、判決によるものが20%、和解によるものが71%、その他が9%となっています。

さらに、交通事故訴訟の最近の傾向として、飲酒運転に対して重い罰則が科せられるという点を挙げることができます。近年、酒酔い運転による悲惨な死亡事故の増加にともない、飲酒運転のさらなる厳罰化を柱とした道路交通法改正案が2007年6月に成立。運転者にお酒を勧めたり、提供しただけの人でも、運転者が酒酔い運転を行えば、飲酒運転の教唆や幇助罪などの刑法が適用されることになり、3年以下の懲役または50万円以下の罰金。運転者が酒気帯び運転を起こした場合は2年以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられることになりました。

また、民事裁判でも、数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自連帯して賠償の責に任じ、教唆者および幇助者は共同不法行為者とみなすと規定した民法第719条2項に基づく損害賠償責任の適用が進んでいます。

たとえば2003年5月の東京地裁八王子支部の飲酒による人身事故に対する判決では、運転者本人ばかりでなく同乗者にも、飲酒運転と知りながら危険運転を阻止しなかったのは、不法行為に助長・援助した責任(民法第719条)があるとして、共同不法行為責任が認定されました。

また、2006年9月の千葉地裁佐倉支部の判決では、飲酒運転事故で遷延性意識障害等の後遺障害(1級3号)の被害者に、総額3億円の高額の賠償金の支払いが命じられ、賠償金が高額化しているのも交通事故訴訟の最近の傾向と言えましょう。

2006年9月の千葉地裁佐倉支部の判決

治療費:1570万6686円 入院雑費:44万8500円
入院付添費:194万3500円 症状固定後の治療費:707万5775円
休業損害:239万1868円 傷害慰謝料:350万円
逸失利益:7244万1811円 後遺症慰謝料:3200万円
将来の付添介護料:1億3441万1340円 将来雑費:1556万4870円
家屋改造費用:2370万円
車両改造費:421万2313円 介護用品代:453万2876円
介護ベッド代:80万4382円 車椅子代:121万0950円
入浴担架代:96万3467円 空気清浄機代:28万7897円
痰吸引機代:112万2119円

(注)民法第709条 故意又は過失によりて他人の権利を侵害したる者は之によりて生じたる損害を賠償する責に任ず。
(注)民法710条 他人の身体、自由又は名誉を害したる場合と財産権を害したる場合とを問わず不法行為に依りて損害賠償の責に任ずる者は財産以外の損害に対しても其賠償を為すことを要す。
(注)民法719条1項 数人が共同の不法行為によって他人に損害を加えたときは、各自連帯して賠償の責に任ずる
   民法719条2項 教唆者及び幇助者は共同不法行為者とみなす
(注)民法724条 被害者または其法定代理人が損害及び加害者を知りたる時より3年間之を行わざるときは時効によりて消滅す。不法行為の時より20年間を経過したるときまた同じ。
(注)民法第722条 被害者に過失ありたるときは裁判所は損害賠償の額を定むるにつき之を斟酌することを得

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