交通事故

交通事故に会ってしまった

交通事故の第1当事者とは、交通事故の当事者のうち,過失がもっとも重い者または過失が同程度の場合は被害がもっとも軽い者をさします。2006年に自動車運転者が第1当事者となった死亡事故件数を運転者の年齢別にみると、16〜24歳の若者が1988年の3分の1に減少したのに対し,65歳以上の高齢者のそれは1988年の3倍に増加しています。

また、2006年中の事故類型別の交通死亡事故発生件数をみると,車両相互事故(45.7%),人対車両(32.4%),車両単独(21.3%)の順となっています。さらに細分類でみると,出会い頭衝突(16.7%),工作物衝突(14.9%),その他横断中(横断歩道・横断歩道付近以外での横断中)(14.2%),正面衝突(11.6%)などとなっています。

さて、不幸にもこうした交通事故を起こしてしまった加害者は、どのように対応すればよいでしょうか?

運悪く交通事故で被害を受けてしまった被害者には、損害を補うためのさまざまな権利が認められています。その第一は、損害賠償請求の権利です。交通事故で傷害や死亡などの人損、建造物損壊などの物損といった被害を受けた被害者やその遺族は、加害者に対して民法の定めに基づいて損害賠償を請求することができます。

交通事故における加害者の民事上の損害賠償責任としては、破損した車の修理代、治療費、治療に関する雑費、葬儀代、逸失利益、休業補償、慰謝料などを挙げることができます。

このうち治療費としては、診察費、検査費、傷の治療費、手術費、入院費、リハビリ治療費、マッサージ費、鍼灸費など。また、治療に関する雑費としては、病院への交通費、入院中の食費、日用品、通信費などがあります。

こうした民事上の責任にくわえて、加害者は行政処置や刑事責任も負っています。たとえば行政責任には、免許の減点・停止・取り消し、反則金納付などの地方自治体の公安委員会による行政処分があり、刑事責任には、道路交通法違反、業務上過失傷害あるいは致死罪などがあって、罰金や懲役刑を科せられることもあります。

ちなみに友人に酒を飲まされ事故を起こしてしまった場合、事故を起こした本人が損害賠償責任を負うのはもちろんですが、酒を勧めただけの友人も損害賠償責任を負わなければなりません。

近年、飲酒運転による悲惨な死亡事故の増加にともない、運転者にお酒を勧めたり、提供しただけの人にも、飲酒運転の教唆や幇助罪などの刑法が適用されることになりました。さらに交通事故の幇助者または共同不法行為者に対する民法の損害賠償責任の適用も進んでおり、同僚と酒を長時間飲んだ後に運転をして、死亡事故を起こしてしまった事件に対する判決では、運転者への重刑にくわえてその同僚にも、運転者と知りながら酒を飲ませ、注意義務を怠ったとして、高額の賠償命令が下されています。

また、いったん示談で解決したところで、被害者に後遺症が発生してしまった場合、加害者は誠意をもって被害者の追加請求に応じなければなりません。ただし、こうしたケースでは被害者が後遺症を理由に請求を次々と上乗せしてきて、加害者を苦しめるケースもあり、被害者が合理的範囲を超えてあまりにも高額な賠償金を請求してきたり、暴力団などが絡んで法外な請求をされたりするケースもありえないことではありません。しかし、こうした場合、加害者は法律的に相手に加えた損害以上の責任を負う必要はなく、被害者に言われるがままに賠償金を支払う必要はありません。

このようなケースでは、加害者は調停や仲裁、裁判などの公の場で正当な賠償金額を決定してもらうのがよいでしょう。とくに暴力団などから脅しを受けたような場合は、加害者との接触を禁止する仮処分を裁判所が下してくれるので安心です。

一方、交通事故に遭ってしまった被害者は、加害者への損害賠償請求にくわえて、さまざまな医療保険を行使することができます。自動車事故による治療費は加害者が負担すべきものですが、場合によっては被害者が健康保険法の「第三者行為請求権」によって医療保険者が一時建て替えた治療給付を、後から加害者に請求することもできます。また、事故の状況によっては労災保険も適用可能です。

さらに、交通事故が原因で、被害者が治療費や生活費に窮するようなことがある場合、国の貸付金制度や、各地方自治体の貸付制度などを利用することができます。たとえば(独)自動車事故対策機構は,被害者の救済を図るため,重度の後遺障害の被害者への介護料の支給、在宅介護者に対する短期入院費用の一部助成。重度後遺障害者への専門的治療や療護センターの運営、自動車事故で死亡した者の遺族または重度の後遺障害が残った者の子弟である義務教育終了前の児童に対する生活資金の無利子貸付業務などを行っています。

また、(財)交通遺児育成基金は,自動車事故によって一家の働き手を失った交通遺児に対し,遺児が満19歳に達するまで,年金方式で育成給付金を支給する交通遺児育成基金事業を実施しており、子供の養育にかかる費用に対しては、各種奨学金制度を利用することもできます。

さらに、加害者に賠償能力がない場合や加害者との示談がなかなか成立しない場合では、加害者が強制加入させられているはずの自賠責保険に対して、被害者側が直接保険金請求できる特別救済措置を請求することができます。また、加害者が自家用車を業務に提供していた場合など、加害者の勤めている会社に車使用に関するコントロールのあった場合は、使用者責任や運転供用者責任に基づいて、会社に責任を求めることができます。

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。