マンション

欠陥マンション問題

欠陥マンション

「欠陥マンション」とは一般的に、給排水管の腐食から生ずる漏水、雨漏り、電気・ガス工事の欠陥、壁面の亀裂、騒音等の物理的な欠陥、すなわち法律的にはこれらの「瑕疵(かし)」のあるマンションをいいます。

「瑕疵」とは、上記のようにマンションとして通常有すべき品質、性能などの物理的な欠陥の他に、南に山なみの景観があることを目的としたマンシヨンの売買で、契約後に南側隣接地に予想外の高い建物が建築され、景観はもちろん日照が阻害されたことや、過去に部屋で自殺があったといういわくつきの建物だったことなども瑕疵と解されます。
ただし、中古マンションの売買の場合において、設備の経年劣化による自然損耗からの欠陥等は瑕疵とは認められず、瑕疵への判断は、売買価格との関係なども考慮して総合的に判断されているのが現状のようです。

瑕疵への売主責任を追及

買主は売主に対し瑕疵担保責任として、以下の責任追及ができます。

(1)損害賠償の請求(民法570条、566条1項)

損害賠償として請求できる範囲は、買主が瑕疵を知らなかったために被った損害に限られ、通常は修理費用相当の損害賠償額になります。この買主が知らなかった瑕疵(隠れたる瑕疵)とは、購入したときに通常の注意を払っても知る ことができない瑕疵をいいます。

(2)売買契約を解除

瑕疵があるために売買の目的を達成することができないときは売買契約の解除をすることができます。
この目的を達成することができない場合とは、過分の費用を要するほどの重大な欠陥がある場合や瑕疵の修補が容易でない場合が相当します。

瑕疵担保責任の請求可能期間と特約

上記、(1)、(2)の責任追及とも、瑕疵を発見したときから1年以内にしなければなりません(民法570条、566条3項)。
ただし、当事者の合意があれば短縮したり、また伸長することもできます。
買主に不利な特約はできないことになっていて、特約を交わしても無効になります(宅地建物取引業法40条)。また、宅地建物取引業法でなくとも、法人が、民法で定めた買主である消費者に一方的に不利な特約を結んだ場合も無効になります(消費者契約法10条)。
ただし、売主が宅地建物取引業者である場合に、瑕疵担保責任の期間について引渡後2年以上とする特約は無効となりませんので注意が必要です。

新築マンション売買の場合で、瑕疵がマンションの構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として政令で定めるものであるときは、マンション引き渡しの時から10年間は、売主は瑕疵担保責任を負い、これに反する特約で買主に不利なものは無効とされます(住宅の品質確保の促進等に関する法律88条)。この期間は20年以内であれば、特約で伸長することもできます。

騒音問題に新しい判決

騒音の激しい地域に位置する新築マンションの分譲に当り、遮音性および機密性に優れた高性能防音サッシの使用をうたいながら、実際には遮音性能の不十分なサッシを使用したため、窓を閉めても近くの鉄道線路を通過する列車と踏切警報機の騒音に悩まされ、睡眠妨害等の被害が認められたとして瑕疵があることを認めた判決(平成3年12月26日福岡地方裁判所判決)です。
この判決でマンション売主には、十分な防音性能を欠くことによつて下落した価格相当額の損害を賠償する責任があるとし、さらに、マンション販売会社に対し故意または過失があり不法行為にあたるとして慰謝料まで認めています。

欠陥マンションへ最高裁判決の新基準

最高裁は欠陥マンションに対して、判決(平成19年7月6日)で新しい基準を示しました。

大分県内の新築間もなく棟ごと買い取ったこのマンションは、バルコニーや居室の床と壁などにひび割れが生じていて、鉄筋の露出なども見つかり、加えてバルコニーの手すりもぐらつく欠陥状態でした。
買い取った親子が訴訟を起こし、裁判の内容は、

一審の大分地方裁判所は、設計者(東京)と施工者(大分)に瑕疵担保責任があるとする判決が示されましたが、瑕疵修補に要する費用などに被告は不服として控訴しました。
そして、二審の福岡高等裁判所では、直接の契約関係にない購入者(買い取った親子)に対しては、設計者と施工者は瑕疵担保責任を負わないとして、購入者の賠償請求を退けました。さらに、建物の瑕疵は構造耐力上の安全性を脅かすほどのものではなく違法性は強くないとして、設計者と施工者の不法行為責任も否定しました。この判決に対し親子側が上告し、そして最高裁が今回、二審判決を破棄し、福岡高裁に差し戻したのです。

<最高裁の新しい判断> ※カッコ内は従来の基準・判断
  1. 建物は、直接の契約関係にない建物利用者や隣人、通行人等であってもその生命、身体または財産を危険にさらすことがないような安全性を備える必要がある(※建物は居住者の安全を考慮しなければならない)。
  2. 違法性の強さには関係なく、建物としての基本的な安全性を損なう瑕疵がある場合は「不法行為責任」が成立する
    (※瑕疵に対する損害賠償を請求するためには、直接の契約当事者でなければなりませんし、相手方の過失を立証しなければなりませんでした)
  3. 建物の完成・引き渡しから20年以内に瑕疵の存在を知り、それから3年以内であれば責任追及や損害賠償請求ができる(※2000年に成立した建築物品質確保促進法では、瑕疵担保責任を追及できる期間は「建物の主要構造部と雨漏り」について10年、それ以外は2年としています)

このように、共用部分の瑕疵についても全区分所有者、居住者が不法行為責任の追及ができるとしました。さらに、築20年までは、分譲会社や設計者、建設会社に対しても瑕疵を理由に損害賠償請求ができるとし、しかもその瑕疵の範囲は「基礎や主要構造部」に限りませんでしたから、現在中古マンションにお住まいの方にとっては、とても安心できる判決となりました。

いま全国各地で進行中の欠陥マンションをめぐる訴訟の判断でも、各裁判所はこの最高裁判決を前提かつ参考にすることになります。

欠陥?マンションへの対応

マンションなどの欠陥は、一個所ではなく何個所にも渡って出る場合が多く損害額も大きくなることから、大掛かりな裁判になることもあります。原因を押えたり、その後の交渉には専門家の助力も必要となることがありますから、その見極めが必要です。

購入したマンションに「欠陥があるのでは?」と疑ったときの対処の仕方として

  1. 欠陥の把握〜聞き取り調査から
    • なにが問題か
      騒音、振動、悪臭、雨水の問題、構造の問題、その他
    • 資料関係の検討
      設計図面、施工図面、その他図面や資料など
    • 以上でわからない場合〜現場検証
      原因と思われる疑いの部分(たとえば、床・天井、外壁、外観など)をひとつずつしらみつぶしに検討
  2. 原因を押さえて、交渉相手に確認
  3. 改善請求
    • 新築物件の場合→行政(建築指導課)の「建築紛争処理委員会」
      学識経験者を交えた調整検討委員会で業者にたいする改善・改良工事の請求ができます。
    • 年数を経た物件の場合→建築会社へ直接の申し入れ

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。