マンション

いつも話題のペット問題

いつの時代もテーマとなるペット問題は、各々のマンションで事情が異なり対応策もいろいろのようです。決定的な解決方法があるわけでなく、それぞれのマンション状況にあったベストな解決方法をいろいろと模索することになります。

ペット飼育を禁止した法律はない

動物に関する法律や基準・施行規則などはたくさんありますが、そのなかで一般的なペットの飼育を禁止した法律はありません。さらに、都道府県や地方公共団体にも動物に関する条例・施行細則がありますが、これも同様です。

<区分所有法上のペット飼育の解釈>

民法では規定しきれない、特殊事情のあるマンションには、それに対応した、「区分所有法(建物の区分所有等に関する法律)」という特別法ができています。
この区分所有法において、ペット飼育が他の居住者に実害を与えていると認められる場合は、第6条:共同の利益に反する行為に該当します。一方、専有部分内で迷惑をかけずに飼育している場合は、区分所有者の自由です。

さらに、マンション規約で定めた「ペット飼育禁止」は、「第30条:建物又は敷地若しくは付属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、区分所有法で定めることのほか、規約で定めることができる」とありますから、規約でペット飼育禁止が決められていれば、ペット飼育は明らかな規約違反となります。
したがって、今までの裁判では、ペット禁止の規約は有効であり、居住者は受忍すべきものとされてきています。

ペット問題のいろんな側面

こと、マンションでのペット問題は、規約で飼育が「不可」「可」に決まっていることに関わらず、居住者にとっていろいろな側面があります。
ペット禁止にもかかわらず飼育する人、隠れて飼っていて肩身の狭い人、熱烈にペット飼育を要望する人、ペット可だったのに、規約改正で禁止になりそうで困っている人、動物嫌いでペット禁止を願う人、その一方でペット可でも飼育マナーが守れない人など数え上げればきりがありません。

このように、たとえペット問題といっても根本的な取り組みをしないと解決できない状況にきていたり、単に規約上のペット禁止で解決できる状況にはない場合などもあります。マンションという環境は動物好きも嫌いな人もお互いを尊重しつつ共同生活すべき空間だということを再認識せざるを得ないのでしょう。

現実には各マンションで事情が異なりさまざまですから、対応策もいろいろで、自分のマンション状況にあったベストな解決方法をいろいろ模索することになります。

ペット可の分譲マンション増える

最近は適正飼育の方法が普及するにしたがい、ペット可の分譲マンションが増えつつあり、マンションのペット飼育が認知されつつある傾向にあります。“ペット可”のマンションのほうが人気があるという側面もあるようです。

マンションとはいろいろな人が居住空間を共用しながら生活する場所ですが、一戸建の住宅においても地域空間の共有は同様でしょう。動物が好きな人も嫌いな人も安心して一緒に暮らせるマナーと環境が作れればよいのです。
このような規律と環境が守れる生活の場が実現されれば、ペット禁止の規約をもつマンションで禁止する正当な理由が無い場合には「禁止規約は法律に違反し無効」と提訴されるかもしれないのです。
これこそ、民法の所有権で認められる「所有者の権利」、区分所有法で認められている「専有部分は自由」、かつ憲法が保障した「個人の自由」への制約がなくなる居住空間の実現となり望ましい姿となりえることでしょう。

自主組織で飼育特別許可の実例

ペット禁止維持と特別許可制度を提案して実現した実例が下記にあります。

「ペット禁止」のマンションは、違反者は裁判で全部敗訴している、また禁止から可にしたマンションは少ないと、管理会社から報告を受けていた「谷塚コリーナ管理組合法人」では、2003年6月の総会で「ペット禁止」から許可制度によるペット飼育を認めました。
発端は、禁止にもかかわらず隠れてのペット飼育者が増え居住者からのクレームがあり、役員会で取り上げられたのがきっかけです。
禁止しても隠れ飼育者は無くならない、それは禁止自体に無理があるからではないか、どうもペット問題は根本から調べ直し検討しなければならないと気づいたそうです。

そしてとうとう紆余曲折はあったものの、マンションでのペット飼育ができるようになったとのことです。

実際の運用では、「ペット飼育は禁止」を維持し、例外として「介護犬等の同居は認める」と「動物飼育特別許可規則(適正飼育のできる人のみに特別許可を与える制度)」を細則として作りました。
そして「ペット飼育者の会」を立ち上げ、具体的な飼育ルールを会則として作っていただき、自主運営をしてもらっています。
その後1年を経過しましたが大きなトラブルもなく、動物嫌いの人も動物好きの人も同じマンションで問題なく生活しています。
「思い返せばペット禁止だったからこそ、解禁後もマナーやルールが保たれているのです。最初からペット可で飼育ルールが無いマンションの方がむしろ解決が難しいのではないか」と感想を語り、これはいまペット問題を抱えている管理組合にはとても参考になる事例と思われます。

書式及び参考資料

注意事項

利用者の皆様に提供する回答は、弁護士の法的助言にかえることはできません。あくまで、ご自身の判断の一助にしてください。