セクハラ

企業のセクハラ防止策

セクハラ対策の明確化と周知を

男女雇用機会均等法21条2章は、就業環境整備のための措置として、女性にとって働きやすい職場環境を整えるため、各企業にセクハラ防止を求めています。また、2007年4月1日に施行された改正男女雇用機会均等法は、事業主による雇用管理義務を配慮義務から措置義務へと格上げし、企業により厳しいセクハラ対策を迫っています。

ここで同均等法に基づく企業のとるべき具体的なセクハラ対策として参考になるのが、厚生労働省による指針です。同指針では、「セクハラに対する方針の明確化とその周知啓発を図る手立て」、「相談苦情への対応」「セクハラが生じた場合の迅速な対応」などのセクハラ対策が事業主に求められています。

このうちセクハラに対する方針の明確化としては、職場でのセクハラ問題に対処するための基本方針の確立が各企業に求められていますが、方針を定めただけでは駄目で、それを就業規則や服務規定に明記。社内報やパンフレットなどで周知し、研修や講習などで啓発を行うことで、管理職や男性社員の意識改革に努めなければなりません。

また、セクハラの相談や苦情への対応としては、相談窓口や苦情処理部門などの設置にくわえて、相談や苦情に対する処置マニュアルの作成など、被害女性の相談や苦情に対応する社内体制の確立が必要となります。

また、実際にセクハラが生じてしまった場合に対する対応としては、被害女性のプライバシーの保護や、解雇、いじめなどの被害女性に対する不利益な取扱いが起こらないように留意したうえで、事実関係の確認、就業規則に基づく罰則を課したり、当時者の配置転換をするなどにより、問題の迅速かつ効果的な解決を図るための対応策を確立する必要があります。

このように改正男女雇用機会均等法では、セクハラ防止に関する具体的行動が企業に求められており、セクハラ問題が生じた場合、事業主は雇用管理上の措置を講じる義務を背負わされています。そして、この義務に違反した企業には、厚生労働大臣への報告が求められるとともに、助言、指導、勧告などが課せられ、勧告に従わない企業に対しては企業名が公表されます。

日頃から均等法や厚労省指針を守れ

セクハラの被害者は加害者に対して、民法709条に基づく不法行為として損害賠償を請求することができます。また使用者である企業に対しても、民法715条の使用者責任、あるいは民法415条の労働契約に基づく付随義務としての職場環境整備義務責任に基づいて、損害賠償を求めることができます。

一方、こうした民事上の損害賠償請求に対して、企業としては事前に責任を回避軽減するための対策をとっておく必要があります。こうした企業の採るべき対策の第一としては、セクハラ予防策の確立があります。過去の判例でも、企業がセクハラ予防策を怠っていたことを理由に民事損害賠償責任を求められたものが多くあり、日頃からしっかりしたセクハラ予防策を確立しておくことが、企業にとっては民事損害賠償責任を回避軽減する手立てとなるのです。そのためにも、各企業は日頃から男女雇用均等法や厚生労働省の指針に従って行動することで、セクハラ防止を図っていたことを証明する準備をしておかなければならないでしょう。

企業にとっての民事損害賠償責任回避軽減対策のもう一つは、セクハラ事件が発生した際の事後措置です。厚生労働省の指針は、セクハラ事件が発生した際に企業がなすべき事後措置を具体的に示しており、企業はこの規定をしっかりと守ることで、民事損害賠償責任を回避軽減することが可能となります。

セクハラ事件の発生後、企業がその対応にとまどれば、被害者の矛先は加害者はもとより企業にまで向けられてしまいます。過去の判例でも、発生したセクハラ事件に適切かつ迅速に対応しなかったことで、民事損害賠償責任を問われた企業が多くあります。とくに事実に反して、不当に加害者を庇おうとする企業に対しては、裁判所は高額の慰謝料を課し、その責任を追及しています。

ただ、被害者加害者双方の言い分が対立し、明白な証拠がないことが多いセクハラ事件では、企業によるセクハラの究明に時間がかかってしまうことは否めません。このような場合、企業はことを裁判所や労働局などの第三者機関に委ねた方が適切でしょう。なぜなら、事件を第三者機関に委ねることで、企業は均等法が求める雇用管理上の必要な措置を講じたことになり、民事上の責任を回避できるからです。

このようにセクハラ事件による民事損害賠償責任の回避軽減対策にあたっては、企業がセクハラ事件に関する厚生労働省の指針に示された措置に可能な限り従うことがもっとも有効な対策となるでしょう。

書式及び参考資料

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