医療

医療過誤、出会わぬ先の知恵

日本医療機能評価機構によると、2007年上半期において、国立病院や大学病院などの医療機関が報告した医療事故は580件。そのうち死亡事故は59件、後遺症の恐れのある重大事故は80件となっています。その原因としては「確認を怠った」73件、「判断を誤った」81件、「経験不足」36件など、その多くが医療側の過失を原因とする医療過誤となっています。また、医療従事者の人的な過失や不注意が原因で発生するヒヤリハットも、2007年1−3月で44812件が発生しており、いつ誰が医療事故の被害者になってもおかしくない状況となっています。

こうした医療過誤にわれわれが会わないためには、まずはこれからかかろうとする病院が医療事故を起こしやすい病院かどうかを事前に見分けることが必要となります。そのため、おおいに参考になるのが、医療施設の機能を中立的に評価する組織として設立された「日本医療機能評価機構」の発表する各種情報です。

日本医療機能評価機構では、医療過誤や医療事故に関する情報を全国の病院から収集し、これらの情報に基づく病院の認定制度を実施しています。認定を受けた病院には「認定シンボルマーク」が与えられ、現在2350の病院が同機構による認定病院の資格を獲得しています。このため、これから行こうとしている病院のよしあしを判断する際には、その病院に同機構の認定シンボルマークが与えられているかどうかを判断基準のひとつとすることができます。

さらに、その病院が医療事故を防ぐために医療事故防止対策委員会を設けているかどうか、あるいはいざというときのために患者の苦情を受け付けてくれる苦情処理専門の部署を持っているかどうかも病院選びの重要な判断ポイントとなります。

また、大学付属などの大病院では、専門が違うと、医局が違ってしまうので、医局ごとに異なったカルテを使用しており、このため医局間の連絡がとれずに医療事故が発生してしまう恐れがあります。こうした目に会わないためにも、医局を越えた1人1カルテ制を採用している大病院を選ぶべきでしょう。

また、各医療分野ごとに専門化している大学病院や専門病院には、専門には強いが、それ以外の分野は三流という医師も多いため、受診にあたっては担当医の細かい専門を尋ね、自分の病気を専門にしてくれている医師を選ぶようにしましょう。

一方、身近に利用する地元のお医者さんのよしあしを事前に判断しておくことも、医療過誤の防止に必要です。地元のかかりつけ医を判断する簡単な基準は、まず診察の丁寧さです。たとえば風邪に似た症状に対する診察でも、患者の胸にさっと聴診器をあて、ちょっとのどを診ただけで判断を下すような医師は考えものです。症状は一見風邪と同じでも、実は重大な疾患である可能性があるからです。こうした疾患を見逃さないためにも、検診にあたっては、患者の症状を詳しく聞き、背後に隠れているかもしれない真の病名を探り出そうと努めるのが優れた医師の条件と言えましょう。

また、検査や治療に際しても、その内容、目的、必要性や危険性、選択肢などを、患者が納得できるまで丁寧に、分かりやすく説明してくれるかどうかも医師選択の重要な判断基準となります。

さらに、医師の態度ひとつにもその医師の本質が表れてきます。患者の表情を見ない医師、患者の話を聞かない医師、患者の容態を聞かずに検査を始める医師、カルテや検査結果ばかり見ている医師、看護婦にまかせきりの医師、挨拶もしない医師、服装のだらしない医師、言葉使いの悪い医師などは考えものです。薬の処方でも、状況に応じて必要な薬だけを処方し、かならずしも必要でない薬は処方しないようにするのが優れた医師の条件でしょう。

また、患者に重大な疾患が見つかったときに、適切な専門医療機関を紹介してくれるどうかかも、かかりつけ医選択の重要なポイントとなります。夜間でもちゃんと連絡が取れ、いざという場合に信頼できる身近な窓口となってくれることこそ、かかりつけ医の最大の条件だということができましょう。

最後に、患者が診断や治療方針について主治医以外の第三者の専門家に意見を求める「セカンド・オピニオン」も、医療事故を避けるための有効な手段となります。

たとえば医師から手術の必要があるとすすめられた場合、後で取り返しのならない事態を招かないためにも、ためしに他の医師の意見も聞いてみることで、よりよい治療法を選択することができます。大病院の中には、セカンド・オピニオン専門外来を設けているところもあるので、遠慮せずに主治医に相談して、それまでの病状や治療経過を記した書面や、検査記録、レントゲンなどの画像記録を貸し出してもらい、セカンドオピニオンを受診してみてはいかがでしょう。

(注)日本医療機能評価機構

日本医療機能評価機構は、国民の医療に対する信頼を揺るぎないものとし、その質の一層の向上を図るため、病院を始めとする医療機関の機能を学術的観点から中立的な立場で評価し、その結果明らかとなった問題点の改善を支援する第三者機関として設立された組織。

(注)医療事故防止委員会

院内の各部門を統括し、事故防止について病院全体の中枢となる組織。その役割は、事故防止に関する各種の具体的措置やマニュアル、職員研修、その他事故防止に関する一切のことを検討し決定することである。事故やニアミスに関する各種の情報は,最終的には事故防止委員会に集積され、具体的な事故防止対策に反映されていくことが必要である。
(国立大学医学部附属病院長会議常置委員会医療事故防止方策の策定に関する作業部会)

(注)セカンド・オピニオン専門外来

・慶應義塾大学病院(東京都新宿区信濃町35)
 地域医療連携室内 セカンドオピニオン外来事務局
 TEL : 03-3353-1139  FAX : 03-5363-3865
 (日曜・祝日/第3土曜/年末年始を除く、午前9:00〜午後4:00)

・東大病院予約センター
 TEL : 03-5800-8630 (土日祝日を除く平日 12:30〜17:00)

書式及び参考資料

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